ものづくりで可能性を探る

【年間集客110万人!】スパリゾート・アクアイグニスの集客力の秘密を探る

めっきり寒い日が続いています。
寒い日は、温泉に入ってぽっかぽかに温まりたいですね。

こちら、三重県菰野町にある温泉複合施設『AQUA×IGNIS(アクアイグニス)』をご存知ですか?


一面に水を取り入れたモダンな外観。
美術館かと思いきや、レストランと温泉の複合施設と聞いて驚きました。
敷地面積4万9000平米に温泉、宿泊、レストラン、パティスリー、農園などを集めたスパ・リゾート施設です。

移設前は年間24万人だった片岡温泉の来場数が、2012年の移転リニューアルをきっかけに、今では年間110万人を超えるほど集客を集めています。

数年で4倍の集客を集めた、その秘密を探ってみたいと思います。

ーーー目次ーーー
◆そもそも110万人の集客ってどれくらい?
きっかけ
新しい顧客の取り込み
(1)新たな価値を付加する
(2)モノ消費からコト消費へ
(3)「見つけてもらう」インバウンドプロモーションが奏功
おわりに
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◆そもそも110万人の集客ってどれくらい?
リニューアル前は複合施設ではなく、温泉の単独施設だったアクアイグニス。 
名古屋から車で1時間。三重県北部にあり、日本二百名山の御在所岳の東麓というロケーションで改装前から年間24万人の来場者がありました。
地元の人に愛される温泉施設が、改装後には集客約4倍です。にわかには信じがたい話です。

人気の温泉ランキングで上位に入る別府温泉草津温泉の入湯客数が年間約200万人と言われます。
数字の近いところでは、道後温泉年間約100万人と、肩を並べます。

遊園地で言うと、東京としまえん約104万人大阪ひらかたパーク約95万人と同じくらいの集客。

コンサートの動員数で言うと、全国32公演で約94万人を動員する(2016年しらべ)嵐のコンサート以上の集客力ということになります。

全国的に有名ではない菰野町に、これだけの観光客を集めているのは、それだけの魅力があったからです。
実は施設の目玉は、源泉かけ流し100%の温泉と、日本のトップシェフたちの織り成す料理です。

◆きっかけ
菰野町は、山や田畑など自然豊かなイメージがあり、なぜこの田舎に有名なシェフたちが集まったのか疑問でした。
移転のきっかけになったのは、もともと片岡温泉のあった敷地が建設予定の新名神高速道路の用地になるため立ち退き対象になったことです。
その際に、ただ移転するだけではなく今までの「問題意識を解決するような新しいリゾートを建設することになりました。

今までの「問題意識」とは?
湯の山温泉郷は古くから温泉街で、映画「男はつらいよ」の舞台にもなり、旅館やホテルも多い地域でした。
ところが、有名な土産物やおいしい食事ができるレストランはありませんでした
アクアイグニスの仕掛人・立花哲也氏は、この二つの機能を付け加えたスパ・リゾートにすれば、新しい片岡温泉は大きく成功すると考えました。

◆新しい顧客を取り込む
(1)新たな価値を付加する
今までにない新たな価値を創造し、新しい顧客を増やそうと試みます。
目を付けたのがスイーツでした。


甘いものに女性は目がないですからね。
女性客が増えれば、伴って男性客も増えます。

スイーツの出店にあたり、立花氏が最初に出店交渉したのは菰野町に隣接する四日市市の有名菓子店でした。
しかし了承は得られず、「仕方なく、ダメ元で」知人を介して知り合った東京の有名パティシエ辻口博啓氏に依頼に行ったところ、予想外の好感触。
決め手は、新鮮で品質の良いイチゴでした。


それにしても、きっかけがイチゴというのは意外です。
菰野町は、温泉熱を利用して土を温めて栽培できるため、甘くておいしいイチゴが採れるんですね。

辻口博啓シェフと言えば、言わずと知れた天才パティシエですが彼をキーパーソンとして、世界の料理人1000人に認定されたイタリアンシェフ奥田政行氏、予約が取れない和食店で有名な笠原将弘氏といった豪華な顔ぶれがそろいます。

また辻口シェフの紹介で建築やインテリアの分野でも、建築士の赤坂友也氏、ミヤケマイ氏などのデザイナーやクリエイターたちが参画することになりました。

こうして、今までにない新しい価値を提供できるようになりました。

(2)モノ消費からコト消費へ
辻口シェフに至っては、「目の前に畑を構えてイチゴなど採れたての食材を使える。この新鮮さと安全性が何よりの魅力だ」と東京の繁盛店をたたんで、菰野町にやって来ることを決めました。

イタリアンの奥田シェフは、「現地へ来て土壌が豊かで海産物が豊富なことを知り、この土地だからこそできる地産地消を発信できると考えた」と語っています。

素材へのこだわりから、両シェフは施設内で体験菜園を運営しており、辻口シェフはイチゴ園「TSUJIGUCHI FARM」をプロデュース。
奥田シェフは、宿泊付き会員制貸農園「畑っちゃーの」を運営しており、会員になるとスタッフのアドバイスを受けながら無農薬野菜を栽培し、自ら収獲した野菜を使う特別ディナーを味わうことができます。

共通しているキーワードは”体験型”です。
その背景として、消費者の傾向がモノ消費」から「コト消費」へと移行してきていることが挙げられます。

モノ消費」とは、商品やサービスの機能に価値を感じて使うこと。
コト消費」とは、商品やサービスによって得られる経験に価値を感じて使うこと。

かつて”三種の神器”と呼ばれた冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビや”3C(カラーテレビ・クーラー・自動車)”のような商品は人々の生活を豊かにするものして、多くの消費者に選ばれました。

しかし、現在ではそのような必需品はほとんどの人に行き渡っています。
その結果、機能的な価値を提供するだけでは消費者に選ばれにくくなっているのが現状です。

こうした消費の成熟化から、さらに充実した生活のために精神的な豊かさを求める消費マインドが「コト消費」へつながっています。

アクアイグニスで言えば、棟ごとに4人のデザイナーがインテリアコーディネートを担当している離れ宿や、アーティストやデザイナーによって彩られたオブジェや家具などの空間設計も、「デザインされた時間を消費する」という意味でコト消費にあてはまっています。


(3)「見つけてもらう」インバウンドプロモーションが奏功
インバウンドというと外国人観光客をイメージするかもしれませんが、マーケティングでいうインバウンドも「外からやってくる」という意味では同じです。
従来のアウトバウンドのプロモーションでは、ダイレクトメールやテレビCM、バナー広告など企業からターゲットに向けて発信する(外に向かう)手段が多く取られてきました。

アクアイグニスではリニューアル以来、テレビや雑誌などの取材がきっかけとなり広告費を使うことなく集客ができていました。

シェフたちのおいしい料理やスイーツ、インパクトのある空間づくりが話題となり、アウトバウンドのプロモーションに頼らずに消費者の関心を向けることができたのです。
インターネットが普及し、消費者が自分の興味・関心にもとづいて自発的に行動し、企業側にアクセスする時代です。
売りたい相手(ターゲット)が、自ら企業の方にやってきます。
消費者の欲しい情報が集まったコンテンツがあれば、追いかけなくても潜在顧客に「見つけてもらう」→「選んでもらう」ことができます。
FacebookやInstagramなどのSNSも、インバウンドプロモーションに一役買っていますね。

かく言う私も、雑誌に掲載されている写真で興味を持ち、企業HPに訪れたためインバウンド戦略に当てはまった内のひとりです(笑)

◆おわりに
アクアイグニスの集客力アップの取り組みをまとめると、こうなります。
・有名シェフたちのコラボによる、今までにない付加価値を見出した
・体験型の要素を追加した
・追いかけるよりも、興味を持たせて選んでもらうマーケティングが奏功した
時代に合わせたマーケティングとプロモーションで集客力を高めたことが分かりました。

私もおいしいスイーツが食べたくてマーケティングの一環で訪れましたが、飽きのこないシンプルモダンな空間にあちこちにアーティストたちの仕掛けがあり満足度の高い時間が過ごせました。
季節限定のイチゴのかき氷をいただきましたが、素材の味をそのまま楽しめる一品で、リピートしそうです。

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