ものづくりで可能性を探る

【6年で売上5倍!】今治タオルのブランディングがおもしろい!

愛媛生まれの私。
出身地を伝えると、数年前までは「あー、ミカンのね!」とリアクションされるのが当たり前でした。
しかしここ数年で、周りからのリアクションに変化がでてきました。

このマークをご存知ですか?


そうです!今治タオルのロゴマークです。

今治タオルはその台頭により、いまや愛媛といえば今治タオルと言わしめるほど、県を代表する名産物となりました。
今治タオルの認知度は、2014年の調査でなんと75%超えています

今でこそ日本国内ではほとんどの人が知っている今治タオルですが、その背景には120年もの歴史と良きものを作るという意志と伝統を引き継いできた匠の技があります。

120年の歴史のある今治タオルが、なぜこの数年でこれほど有名になったのでしょうか?


一時は減少の一途をたどっていた今治タオルがどのように「奇跡の復活」を果たしたのか、そのブランディング市場開拓に焦点を当ててみたいと思います。

==========
1.今治タオルの特徴
2.今治タオルの歴史
3.ブランディング
4.新たな市場開拓
5.おわりに
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1.今治タオルの特徴
触ってみてください、ほんとにふわっふわなんです!

本物志向の顧客が多い今治タオル。もちろん一般的なタオルとの差別化ができる特徴があるんです!
・吸水性に優れている
柔軟剤を使用しなくてもよいほど、やわらかな風合い
染料の調合、今治ならではの先晒し先染めの技術などにより色落ちしにくい
・高品質な繊維の長い綿花を使用することで、パイルが抜けにくい

なんといっても「先晒し先染め」という生産工程における特徴は、今治産地オリジナルです。
良いものを追及した技術革新により、従来の「織る」→「晒す」→「染める」の順番であった製法を、はじめに「晒す」→「染める」→「織る」という「先晒し先染め」製法に改めました。
この製法により、複雑で繊細な柄を表現できるようになりました。


2.今治タオルの歴史
以下の条件が揃い、タオルの産地として発展しました。
・良質な水資源が豊富
・雨量の少ない温暖な気候
・水路があり貿易しやすい

この柔らかな水が、あのやわらかい肌ざわりを生みます!


今治地区は自然に恵まれ木綿の一大産地となり、江戸時代に国内では大阪泉州や三重とともにタオルの製造がはじまります。
改良を繰り返し、1960(昭和35)年に今治で開発したタオルケットが爆発的に売れ、大阪タオル産地を追い抜いて日本最大のタオル産地に。
1991(平成3)年にはナショナルブランドのOEM生産が大きく伸び、今治タオル産地の生産量ピークの50,456トンに。

ところが1990年代のバブル経済崩壊以降、市場の低価格化のあおりを受けて、海外からの安価なタオル輸入量が増加する一方で、国内生産量は減少を余儀なくされます。
今治産地の生産量は18年連続で減少し、2009年には生産量はピーク時(1991年)の5分の1以下の9,381トンまで減少。国内小売市場規模は、6000億円から推定2500億円に6割縮小したとされます。

3.ブランディング
今治タオル再生のきっかけになったのは、今治産地のタオルメーカーがニューヨークホームテキスタイルショーにてグランプリを連続で受賞したことから、2006年に「JAPANブランド育成支援事業」に選ばれたことでした。

低迷を続けていた今治タオルの生産量は2009年に歯止めをかけ、最低迷時期の9,381トンから5年間で11,146トンまで約120%伸び今治市内の直営店売上は6年で約5倍の成長を見せます。

今治タオルのブランディングは、白い無地タオル」をキープロダクトに、本質的価値」を引き出すプロジェクトでした。
これまで多くの今治タオルメーカーは、”先晒し先染め”の技術により繊細な柄を表現できる技術が今治タオルの特徴だと考えてきましたが、色や柄よりも「使い心地」の良さをそのまま価値づけしよう!という、よそ者目線による斬新なプロモーションを行います。

今治タオルの本質的価値=「安全・安心・高品質」を訴求していくプロモーションへ一新します。
例えば、「コメ」の美味しさを伝えるのにカレーをかけてしまったら伝わりませんよね。
真っ白なごはんを食べてこそ「コメ」の美味しさが伝わるのと同じイメージで、品質の良さを伝えるコンセプトに変えたのです。

●12項目の品質基準の策定
「安全・安心・高品質」を伝えるために基準を設け、下記12項目の試験にクリアしたタオルしか今治タオルと認めないルールを設け、各メーカーでバラバラだった品質基準を統一しました。
・吸水率
・脱毛率
・パイル保持率
・耐光
・洗濯による変退色、汚染
・汗による変退色、汚染
・摩擦
・引張強
・破裂強さ
・寸法変化率
・メロー巻き部分滑脱抵抗力
・遊離ホルムアルデヒド


中でも今治タオルの一番の特徴である吸水率試験では”5秒ルール”を設け、タオルを水に浮かべて5 秒以内に沈めば合格。
吸水性の高さを判断する基準で、業界団体の「日本タオル検査協会」が定める基準の60 秒よりもシビアな基準です。
そんな基準を乗り越えて、今治タオルは出荷されています。
ふわっふわな訳ですね。

●ロゴマーク
品質保証をするためのブランドマークを策定し、今治タオルのブランディングを行いました。
クリエイティブディレクターに佐藤可士和氏を起用し、ブランドマーク&ロゴデザインを手がけてもらいました。
2007年には地域団体商標登録を行い、個々の会社のマークではなく統一されたロゴマークのみ使用し、消費者が一目見てわかるような産地ブランドを確立させていきます。

4.新たな市場開拓
こうして地域一丸となって今治タオルブランドの整備を行いながら、一方で市場開拓を行なっていきました。
市場開拓と言うと、積極的に営業が出向くのを想像しますが、今治タオルは勝てる市場で勝負したのです。

●消費者のニーズを引き出す
「高くても品質のいいものを使いたい」という需要が実際にあります。
今治タオルの強みである高品質を武器に、消費者に「安全・安心」の意識に気付かせれば、振り向いてくれるはず!
価値がしっかり伝わっていれば、購入の動機になるんですね。

●販路の拡大
2007年からは伊勢丹新宿店に常設売り場を設けるなど、消費者の需要から売上を伸ばし、2012年には東京にアンテナショップ「今治タオル南青山店」をオープンするなど、販路を拡大しながら知名度を上げていったのです。

5.おわりに
今治タオルの成功要因は、本来持っている今治産地タオルの本質的価値を高めるブランディングと、高品質を保ち続ける産地メーカーの努力によると言えます。
今治タオルをきっかけとして、”今治”地域もブランド化され、しまなみ海道サイクリングや元サッカー日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治など、タオル以外の分野でも注目を集めており、今治全体のブランド力を高めるほどになりました
今治タオルのブランディング戦略は、グローバル競争における地域活性の参考になりそうです。

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